青年就農給付金ー5「経営計画書が大変」

 前回、給付金申請にあたってのチェック事項をザッと紹介しましたが、

では、実際どこが一番の肝というか、難しい箇所というかを

実体験を元に2箇所お伝えします。


「農地を持つ事」


 これから農業を始めます。という以上、農地が無ければ門前払い。

農地を買う・借りる、など、何とかして自分の農地をまずは持たなくては

何にも始まりません。。。


 買う場合、以前別記事で「農地の買い方」的な事も書きましたので、

そちらもご参考になれば。


 僕の場合、農地を買う資格自体が無かったので、

父名義の農地を、「生前贈与」という形で登記移転する方法が最善でした。

これが後に、給付金とは全く関係の無い事で、非常にややこしい事に

なったのですが、それはまた後日。。。

 まずは、自分用の農地を貸借契約でも良いので、確保してください。

そしてこれに関しては、司法書士・行政書士さんの手を借りないと、

素人レベルの知識と行動力ではかなり難しい法的な手続きですので、

その辺の覚悟、もしくは出費は念頭に入れておいて下さい。


 そして大事な、


「経営計画書」 


 これはたかだか2~3枚の書類ですが、とにかくいろんな他の項目にも

絡んでくるとても重要な書類になります。

簡単にどういった書類かを言えば、


「農業を初めてその先5年間までの収支計画、そしてその5年後には

農業のみで年間所得250万円を目指す内容である事と、それが実現可能な

計画であり、整合性が取れていると示す書類」



まあ、未来日記みたいなもの。


 極端な話、スタート地点の1年目がわずか100坪の農地でも構わない。

そこから最終的、いわば5年後には農業所得250万円を

達成出来る計画ならばね・・・・。(今後土地を増やすとか・・)

 なので1年目の農地規模が少なかろうが、収入が無かろうが関係ないが、

あくまで、5年後には所得250万円になるリアルな計画書でないといけない。


 元々、家・親等が大農家とかの場合、「親元就農」、いわゆる

農家を引き継ぐという形がとれます。

この場合、親の実績、過去の収支実績があるので、それを元に

具体的に数値的にも作成できるので、かなり楽になります。

そしてこの親元新規就農がもっとも申請が通りやすい対象です。


 逆に、まったくの新規就農の場合、作成するのは非常に大変;;。


例えば、就農1年目、年間所得50万円。

2年目、年間所得100万円。という計画を立てるとする。

 そんな金額は目標であり、いくらだろうと構わない。

問題はその「内訳」を合理的な数値ではじき出さないといけないのです。


「何を作り・それでどれだけ売り上げが出て・経費はいくらか?」


普通に考えれば、


「はっきり言ってそんな事、やってみないとわかんない><!」


ですよね;;これから初めてやるのに、5年先までの収支予定なんて、

絵空事や妄想にすぎない。。。

でも書かないといけない。計算しないといけないのです!


 「○年目に300坪でジャガイモを作ります。」


例えばそう書いたとすれば、300坪から収穫出来るジャガイモの収量。

その収量がいくらの売り上げになり、そしてその経費はいくらかかるか。。

これら全部をはじき出して算出し、記載しないといけない。

品目は何種類だろうと構わない。

 イメージではダメ、架空の計算ですが、現実的な数値で無いとダメ。

だから上記に述べたように、元々親が農家でそれを継承し、新規就農の

場合はこの計画書は断然作成し易い。

 親がキャベツ農家で、それをまるっと引き継ぐなら、

この農地の規模で、いくらの売り上げと経費がかかるとか、

収支がある程度前年・過去歴からわかるからです。


 それだけ、ホントに完全な新規就農の人はこの書類の作成は難しい。。

難しいというか、努力で調べあげ、作成し、乗り切るしかない。

それを5年分書いて提出。

 あくまでも目標なので、多少の事はなんとかなりそうですが、

ところがどっこいw

その計画書を審査するのは農業に関してプロのお役所等の人。

 些細な矛盾さえも見逃さない・・・・。


 僕の実例で言えば、栽培品目の中でサツマイモを○a作り、

何キロ出荷という部分がありました。

「○aでサツマイモで、○kg出荷??○aならもう100kgは収穫可能でしょ?」

そんな細かいレベルですぐに突っ込まれる;;。。。

 珍しい野菜のシカクマメも計画の一部として提出したが、

「その野菜はどれだけ需要があるのか?販路は成り立つのか?」


 その他、パプリカ・ジャガイモ・オクラ。。。

そのほとんどが意見報告書としてガッツリ修正と説明を求められた。。。

そのすべてを文書や口頭・説明書で審査側を納得させないといけない。


 僕は冬野菜は機械化・合理的栽培で無いと儲からないので、

基本、冬野菜は栽培申告しませんでした。

そこもガッツリツッこんで来た><;w

「なんで冬は野菜を作らないのか?なんで圃場をあけとくの??」

それくらい厳しく言ってくる。。。

 なので、儲からない・利益の上がらない玉ねぎ等を

無理矢理、冬野菜の栽培品目として追加しました;;。

その辺もご注意を・・・。


 予想売上の算出の難しさもさることながら、経費・支出の計算も大変。

今後、いつどんな出費がかかるのかわからなくて当たり前。。。

そんな申請者に、

目安というか、基本値というか、ちょっとだけコツ的な数字。


「売上の大体3割が経費として計算・調整するのがベスト」


この数字は実体験というか、何度かの打ち合わせ・修正の中で、

相手(役所側)が現実に言ってきた数字です。

 なので、支出に関して右も左も見当つかない人は、

こうなるように計画書を出すと良いです。

(あんまこういう事言っちゃいけないんですけどね・・・^^;)


 これだけ大変な経営計画書ですが、当然それがやっと申請時に通っても

今後5年はそれに沿って進んでいるかの監査が入る。

おそらくですが、実現不能と判断された時点で給付金も打ち切りでしょう。


「100坪から初めて、5年後には2000坪を持つ農家になるぞw」


と、計画書を出せば、当然2~3年目の状態が引っかかってくるだろう。

5年後に2000坪?もし3年経った時点で持ち畑300坪だったとしたら

「あと2年でどうやって2000坪にするんですか?」

って、一蹴されて給付金もきっと終わる。。。

 もっとひどい場合、あまりにも計画書通りに進んで無い場合、

給付金の「不正受給」とみなされ、返金もあり得ます。

それくらい今後5年分の「経営計画書」の作成は慎重かつ大事な書類。

 大きな夢と数値を書けば通りやすいですが、実現不可能とバレれば

その時点ですぐにアウトになる。

 かと言って、あまりにもリアルに消極的な数字を書けば、

5年後に農業所得250万円が不可能となり、それもアウトになる。


 自分の場合、

贈与によって得た農地は5、7反。

田んぼはやらないので、畑地は約3反(約1000坪)になる。

 ハウス栽培や特殊な野菜でもない限り、

露地3反で稼げる農業売上はせいぜい150万円が天井だ。

経費を引けば良くて年間農業所得100万円が精一杯だろう。


 この現状を、

「5年後には農業所得250万円になるようにします!」

という、計画書を出さないといけない。

というか、出した。無理矢理押し通したようなもんだ。

 それを可能にするには、単純なのは、今後農地を拡大・ハウスの建設。

そういった事になる。

そうなれば年間150万円なんて一発で飛ぶ。むしろ赤字覚悟です。


 手段は多々あれど、くどいようですが、


「ようは5年後に農業所得が250万円になればいい」という事。


 スタート地点で、すでに広大な農地を持ってたり、

ハウス等を持ってたりしていれば、よっぽど実現可能な現実的な話。


 僕のように小規模スタートで、5年後に250万円農業だけで稼ぐのは

はっきり言って現状の延長でいけば残念ながら「非現実的」。。。

  
 その非現実的な計画書を押し通すのが、「男」だw(そうなの・・・;;?)

いずれにせよ、

1000坪の露地栽培で所得250万円は現状では無理;;w

「所得」ですよ?「売上」じゃあない。

売上で言ったら350~400万円の計算になります。

 たった露地1000坪で年間400万円売り上げる畑。そんな農業は不可能。

1000坪のままでいくならハウス栽培にしないと無理だなあ。

そうなるとハウス代で簡単に数百万円単位の投資がいる。

単純に農地を買って増やせば農地代はもちろん、

広くなった分、トラクター無しではとてもやれなくなる。。。

結局トラクター代でこれまた百万単位の出費だ;;。


 そう考えると、年間150万円の給付金の申請自体、

将来的に自分で自分の首を絞めるかもしれない。


 まあ、それは後々思った事で、この時点では

「給付金もらうぞーー!」ってひたすら前しか見てなかったので、

その当時はそんなリスクは頭に無かったのが事実。

 だからかなり無理とは知りつつも、そんな計画書を出してしまったので、

仮にそれが通っても、1年・2年もすればまあツッこまれるだろう。


 なので、今現在・そして今後、

青年給付金を申請を考えてる人は、


「まずは将来農家で生きていく覚悟とその証明の準備をして下さい」

「そして5年後に年間農業所得250万円が現実的かを考えて下さい」

「それを踏まえて申請に挑むなら、完璧な計画書を作成して下さい」



 現状・将来・目標・夢・財産・リスク・そして申請に伴うかなりの努力。

これと、わずか5年間の給付金年間150万円が釣り合う価値なのか?

そこからまずはしっかり考えて頂きたいと思います。


 そしてこんな大変な「経営計画書作成」も、沢山クリアする項目の

たった1書類にすぎないという事も忘れずに。。。

申請を突破するには、まだまだやる事は山ほどありますよ・・・w

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この記事へのコメント

とおりすがり
2013年02月06日 22:41
現在青年就農給付金の申請開始直後の自分です。
とても記事が参考になっています。
こばじろう
2013年02月08日 20:47
>とおりすがりさん
大変な作業ですが、どうぞ頑張れるとこまで頑張って下さい。

偉そうな言い方で申し訳ないですが、給付金=ラッキー、とは限りません。
慎重に事を進める事をおススメします。
らい
2013年02月12日 12:54
初めまして。数年以内の就農を考えている者です。検索してこちらにたどり着きました。私も給付金に関する記事が参考になっています。

夫と義両親がすでに専業農家なので、田んぼやハウス、トラクター等を貸してもらえるor譲ってもらえる為、就農環境は恵まれている方だと思いますが、申請には所有権が必要なのですね。
登記関係の手続きが大変で(田舎なので登記情報が古いから測量が必要になりそう・汗)、それならいっそ申請しない方が良いのではとも思っています。でも夫は貰えるものは貰った方が良いと言います。

来週、給付金関係の窓口に相談しに行く予定で、こちらで得た情報を元にいろいろ質問をまとめています!
こばじろう
2013年02月12日 13:51
>らいさん
夫婦揃って一緒にというパターンは多いですが、すでに旦那さんが就農してて奥さんが後から新規就農という例はやや少ないかもしれません。。
ただ、旦那さんが就農して5年以内&45歳未満でしたら夫婦揃って給付を受ける事が出来ます。
ただし、上限は1,5倍の225万円だったと思います。あと旦那さんはすでに就農してるので、もし就農して3年目ですと、旦那さんは残りの2年分の給付になります。

夫婦経営ですと共同経営となりますので、夫婦それぞれで農地や機械を個々に取得する必要はないかと思われます。どちらか名義で良いかと。。

農地は所有権・又は貸借契約となっていますので、親子間での貸借契約でも構わないかと思いますよ。贈与でも構いませんが、農地は莫大な贈与税がかかります><;あとよほどの事が無い限り、測量までは要らないかと思います(推測ですが^^;)費用も莫大ですし;;。
農機も同じで借りるor譲るの簡単な書類作成で十分です。

最後に、旦那さんと義両親さんがすでに専業農家という場合、「親元就農」という手続きになる事と、年間所得がすでにそれなりにある場合ですと申請が無意味になる可能性があります。それは給付金以外で年間所得250万円を超えた場合、給付金はもらえないからです。大きな農家を継ぐ場合はすぐに所得オーバーする方もいますので申請しない方もいます。

いずれにせよ、貰って最終的に得するようでしたら頑張ってみる価値はあるかと思いますが、登記・もしかしたら測量等、かなりの事務処理と手続き、出費も出てきますのでこまめに農務課を訪問して色々相談した方が顔や事情も把握してくれて、親身になってくれると思います^^。

あくまで僕の把握してる範囲での説明ですので、実際とズレてる箇所があるかも知れませんので、その場合はスミマセン><;。
申請がんばって下さい^^v
らい
2013年02月13日 05:42
詳しいお話ありがとうございます!
夫が親元独立して私と共同経営する、というのも考えましたが、夫は就農して10年は経つので無理そうですね(^-^;

しかし、農地や農器具の賃貸について、そんな簡単でも良いならちょっと希望見えてきました(笑)
測量が必要かもというのは、家を新築したときに一帯の土地登記簿を取り寄せたことがあるのですが、もう50年以上前の情報で、今ある道路がなく、土地の形も全く違ってたからです(-_-;)なので多分、、、かもという感じです。

とりあえず光明が見えてきたので申請頑張ろうと思います(^^)
ところでこばじろうさんは家庭菜園からの移行だそうですが(私もですが)、直売に出す野菜の包装方法や包装袋の購入先についてはどうやって学ばれたのですか?
こばじろう
2013年02月13日 07:27
>らいさん
おはようございます。
包装資材なんかは、農協経営の直売所等でしたら資材販売として基本的な物は扱っています。
ホームセンターでも園芸コーナーに地味に置いてあったりもしますよ^^
僕の場合、他人と差別化をはかりたかったのでネットで独学で探しまくって、地元では売ってない袋・テープを取り寄せたりもしています。
あとは「バックシーラー」という機材(2500円くらい)のと専用テープを買えばカチャン、カチャンとテープでどんどん袋を留めてイケます。

僕のブログの右の欄に「日本農業システム~」ってショップがあると思いますが、ここも探したお店の中で結構マニアックなお店で、いろんな農業・直販売用品を取り扱っています。掲載されてる商品はほんの一部なので、カタログを取り寄せると沢山の農業用品がモッサリ載ってるので、見てるだけでワクワクしますw一度カタログだけでも取り寄せて閲覧するだけでも、「そんな資材まであるのか」と、ずいぶん夢が膨らみますので、結構おススメです。
慣れてくれば、欲しい商品をそこから拾い出し、楽天等で一番安い所で買うようにすると良いかと思います。
袋について余談ですが、防曇加工のしてある穴あきタイプが最もオーソドックスです。通称FGとかボードンタイプとか言われます。ポリエチレン、いわゆる普通の透明ビニール袋では、袋も曇り、野菜が蒸れて腐りやすくなるのでご注意ください。
らい
2013年02月13日 22:34
こんばんは。
大変参考になりました。ありがとうございます。
早速リンク先のショップでカタログ請求しました!今は会社務めでなかなか時間取れませんが、早ければ来年からの就農に向け、一年かけて家庭菜園しつついろいろ勉強していきたいと思います。
こばじろうさんのブログは為になります~
こばじろう
2013年02月14日 18:07
>らいさん
給付金申請は長い作業になるので、準備開始はお早めが良いです。
是非頑張って下さい^^