青年就農給付金ー3「覚悟」

 生まれた時から農家の家系、

物ごころついた頃から、そして将来を考える若かりし頃から、

農家を志していた人にとっては、この制度は新規就農にとってありがたい。


 しかし、


自分は違う。。。


 たまたま野菜作りに関わった程度とか、将来の見通しが立たないような

レベルでは、補助金の申請どころの決断ではそれはない。。


 最低限、

「広い農地を持っている」

「結婚をしている」

「兼業農家という道もある」

「貯金がある」


これらが一つでも自分にあれば、相談・選択も的確に出来たかもしれない。


 しかし今の自分にはそれがないのがどうにも困る。。

つまり、


「農家になる覚悟と将来性が全く見えない」


給付金どうのこの以前にこれをまず整理と決断しないといけなかった。


 まあ、相談する人もいないし、、結局は自分で決めるしかない。。

「申請してみるだけしてみて、通ったら通ったで、

駄目だったら駄目だったでいいじゃん」

なんて、そういういい加減な考え方も今の自分には向いてない。。


 20歳そこそこなら別にそれで良いけど、もうそんな歳じゃないし。。

そう簡単にやり直しが効くような選択ではなかった。
 

 申請が文字通り通らなければ、また今まで通り金欠と闘病と家庭菜園。

万が一にも、奇跡的に通れば、もう農家として生きていくしかない。。。

その代わり150万はもらえるが、それも5年で打ち切りだ。

でもその後はどうなるんだ;;?

その5年間、身体とか、いろんな意味で持つのか。。。



 家が元々農家でしっかりと収入があり、その後継ぎとして

この給付金を申請するならば、願っても無いチャンスと機会ですが、

自分は違う。。。

 健康上の問題で、今は家庭菜園をして小銭を稼いでいるだけだ。

会社に勤めれれば、平均年収500~600万が当たり前の年頃の世代。

パート・アルバイトだって年収100万くらいは余裕だろう。。


 そう考えると、給付金150万円が大きいのか小さいのかわからない。

そりゃ、もらえるお金ならもらえるに越した事は無い。

でもなんせ、パートすら出来ない健康状態だし。。


 申請と言っても、今まで通り家庭菜園しながら、あとは結果を待つだけ。

なんて甘い制度ではない。。

申請するとなれば、そこからほぼ農家としてあらゆる事に

動き始めないといけないのである。。。。

 給付金が下りる下りないは、ただの最終的な結果論になる。


つまり申請を志した時点で、「農家になる覚悟」が要る。


 結論から言えば、


自分はその覚悟を選択する事にしました。色々悩みましたけど。。

 
 駆けだし菜園家、新規就農の可能性、年齢、と、

あまりにもこの制度がいろんなタイミングが良すぎたのもあり、

もし、自分に広大な農地と農機があれば、自分のために発案されたような

制度って思えてしまうくらい、実にタイミングよくニンジンをぶら下げられた

ようなもんだった。


 こうして、

自分は最大年間150万円の給付金(通ればの話)と引きかえに、

「農家」になるために動かざるを得なくなりました。


 カエルの子はカエルと言いますが、

カエルの孫の自分もカエルになる事になりました。

細々と農家をしてた亡き祖父、サラリーマンの父、

自分は絶対その道だけは無いと、そういう人生を考えた事も無かった。。。

 それが結局は、祖父のいた実家に戻り、

祖父の足あとをまるで辿るかのように人生の歯車が急に回り出した。


 ぶっちゃけ・・・

こう決断したといっても、最終的には農家にはならないと思う。

というか、なれない。


 それは、申請が通ろうが通らなかろうが、、です。


喰って行けない自信が現在100%だから。。。


 前回書いたように、その倍率もさることながら、周りの申請者は

はっきり言って規模と資金力が違う。。

うちの畑は、田んぼを抜けば約3反(=30アール=900坪)だ。

 新規で申請を試みる人達は、「アール」ではなく「ヘクタール」規模。

つまりアールの10倍でヘクタール、1反の10倍が1町という単位です。

 新規就農、キャベツを2ヘクタール。そんなレベルがいっぱい。

2ヘクタールは20反だ。そしてうちは3反だ・・・。

どれだけうちの畑の面積が小さいかが分かる。

かといって、2ヘクタールすら、本気のプロ農家からしてみれば

初心者レベル。

 農業で飯を喰って行くというのはそれくらいのレベルなのだ。。。

ウン千坪、その規模で普通の農家。


 狭くても深く、というのならハウス栽培。

しかしそれも今ではかなりのリスクな時代。

 ハウスを建てるのはそれだけで莫大な出費。

そして現在の燃料の高騰で持ちこたえれない農家も沢山いる。

 うちの3反をもし全部ハウスにしたら、ザッと4000万近い出費だろう。。。

無理も無理な話。

 ってことで、

露地栽培で3反を運用し始めるしかないのだが、

露地栽培1反の収入は、上手くいっても約50万だと言われている。

つまり、現状MAXで150万円の年間売り上げになる。

天候・栽培方法・経理、すべて上手くいっての話。

 台風どーんなら「ハイ、終わり」です。。。


のちのち給付金についての条件等、詳しく書いて行きますが、


「原則、5年後に農業所得で250万円を得る計画が必要」


言いかえれば、給付金が打ち切られる5年後には、

補助金なしで農業で自立して自立年収250万以上で生計を成り立てて下さい。

って話だ。


 何十項目もある申請に必要な条件のうち、この大変な条件も、

これもたった一つの項目にすぎない。

 しかし、あくまでも5年後の目標の話なので、

今すぐにこれをクリアしなければいけない訳ではない。


 極端に例えれば、「今は1反しかないですが、5年後には

20反に規模を拡大・農地増やして農業をします!」

で、言い切ってしまえば、申請時は通ると言えば通ることもある。

ただ、現実的な内容と計画でないともちろんいけないし、

絵空事や絵に書いた餅はすぐにバレる。


 年2回の報告書の提出義務、決算・所得の申告義務、

そして計画書に沿った内容で進んでいるかという監査が入るからだ。

 その検査や審査をするのが、農協のプロ中のプロだから凄まじい。

プロの農家に指導するような職員だから、初心者レベルなんて

回し蹴り一発でTKOされるくらい詳しい。。。

 どの広さ(規模)で、何の野菜を作ったら何キロ収穫があり、

いくらの収入になるのか、、、経費・収支・栽培過程、、、

すべて把握している恐ろしい集団だ。。


 だから、口だけの大きな夢も、理想だけの計画書も通じません。


なので、申請に向けて動いた早々、

僕もこれに当たり前のごとく何度も引っ掛かった。

わずか3反でどうやって将来250万円の所得を出すのか?

まあ、まずそこからきますよね><;。


この品目をこの規模で作ったら、もう100kgは収量があるんじゃないか?

とか、それはそれは細かいとこまでかなりツッこまれた。。。

その都度再提出やら、口頭での言い訳や説明など、大変でした。


 結局、

たった3反では5年後に年間所得250万円は無理な話。

農地を増やす、ハウスを建てる、、、そういった投資、規模拡大を、

今後いずれはしなければ

成り立たない計画って事になる。

 それをもし実現しようとすれば、ますます農業から手を引けない状況になる。

給付金をもらう為に、投資が必要になり、

投資をした以上、農業を投げ出してどこかに就職なんてのも

ますます出来なくなっていく事になるからだ。


だから本当の新規就農者には、相当な「覚悟」がいる。


 もらえるのかもらえないのか、

通るのか通らないのかの申請。

通ったら通ったでどうすりゃいいんだ;;?な自分にとっての給付金制度。


 まあ、まだこの頃は「申請するか!」って覚悟を決めた程度の段階なので、

この先、次から次へとあれもこれもと申請資料が必要だとは

この時点ではまだわかっていませんでした・・・^^;


 ただ、

これで自分は農家になってしまうという覚悟だけは重かった・・・。

 別に、給付金申請もやめて今まで通り好きに家庭菜園やってれば

こんなプレッシャーはなかったんですけどね。。。

 でもそれくらい、

働けない自分にとっては150万円という金額は大きかった。。

祖母は90歳を超え、父は定年を過ぎ、肝心の孫の自分が

病気で無収入じゃあ生きてるだけで罪悪感な日々だったから。。。


 泥水すすっても、自分の身体にムチ打っても、

そして今まで生きてきた知識をすべて使っても、


この給付金は手に入れる!


説明で何とかなる事なら何でも話す。

難しい書類でも何が何でも作り上げる。

儲けにならない、納得いかない栽培計画でも、それがセオリーなら呑む。

ささいな箇所でも、役所が首をかしげるようならすぐに修正する。


 すでに実績と将来性のある新規就農者ならいいですが、

自分のような素人かじりの人間では、

それくらいこっちの覚悟と行動を見せないと役所の担当も動いてくれない。

動いてくれないというか、ふるい落としの対象としてリストアップされてしまう。



 その後はどうなるかわからない・・・。

正直、こんな家庭菜園レベルの僕で、給付金申請が通るとは、

腹の底ではずうっと思ってないですから・・・。

 受からないと何となくわかってる大学のために浪人してる気分で、

月日が流れていく事になりました。


 2012年春。


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この記事へのコメント

新規就農応援者
2013年06月04日 01:16
一反の畑で50万は少なすぎですね。やり方を変えないと無理ですよ。一人でやるなら三反はかなり限界に近い規模です。うまく回せば一年で、250万は楽にこえます経営開始モデルなどを参考になっては?
こばじろう
2013年06月04日 09:28
>新規就農応援者さん
こんにちは。
1反50万はたまたま農務課さんに聞いた露地栽培での、キャベツ・大根などの単純野菜の目安なので一概には言えませんね^^; 説明が足りずに申し訳なかったです><;。
環境や施設や農機によって、ずいぶん変わってくるかもしれません。
 
1人で3反はおっしゃる通り限界に近い状態です;。独学で裏庭栽培から初めて一気に面積増えていったので・・・。

色んな事例を参考にして試行錯誤しながらやっていきたいと思っています。